# Chromiumベースの新生Edgeブラウザを試してみた

2020年1月15日にリリースされた、新しいEdgeブラウザを遅ればせながら触ってみたので、そのレビューをしてみたいと思います。

# 前置き

数年前まではChromeを始め, Firefox, 先代Edgeなど多種多様なブラウザが熾烈なシェア争いをしていたものですが、 ここ最近はほぼChromeが世界シェア60%台後半をキープし続け、その他はほぼ横ばいといった状況で落ち着いて来ていました。

ブラウザシェア戦争はChromeの一人勝ちで終焉を迎えたわけです。

今回EdgeをChromiumベースで作り変えたのも、ブラウザ戦争を盛り返すためなんかじゃなく、 開発コストの削減と他ブラウザとの互換性維持、そしてInternet Explorerの世代交代を担っているものと思われます。

そこで今回は、主にIEからの世代交代を見据えた形でレビューをしていこうと思います。

TIP

官公庁等、お堅い系の企業がIEを使い続ける理由の一つとして、 プライバシー、セキュリティ等が担保できるかどうかが挙げられます。

モダンブラウザは使用状況などの個人情報をあらゆる方法で収集するので、 機密を扱う企業では採用が進んでいないということなんですね。

# 使い勝手

Chromiumベースだけあって基本的に使い勝手はChromeと変わらないです。速度感もメモリ消費もあまり差は感じませんね。

最近のブラウザはどれも表示領域確保のためにロゴなども削られているので、見た目に関してもぱっと見では判別つかないレベル。

開発者ツールもChromeと同じっぽい。Firefoxはエラーメッセージとかが日本語になるので、 英語が読めなくて翻訳してもニュアンスがつかめないときなんかに(ものすごく用途が限られてますが)重宝したりするんですが、 Edgeに関してはChromeと併用する意味はたぶんゼロですね。

現状ではOfficeなどMS系のソフトウェアとの連携についても特に優位性はないみたい。

逆に言うと、天下のChromeとUIやページの表示が共通であることで、 今までIE対応に泣かされ、Edgeでも微妙に未対応のCSSがあったりして、 無駄な工数を割かれていた僕ら開発者にとっては非常に喜ばしいことです。

IE対応というだけで開発の見積り3倍とかになったりすることもあるそうなので、 ユーザーから見てもその辺りはプラスとみてもいいんじゃないでしょうか。 (もちろんこの世からIEがなくなるという前提だけど)

# プライバシーとセキュリティ

Chromeとの最大の差別化ポイントであり、IEの後継たりえるかどうかがここで決まるんじゃないかと思います。

Chromeのプライバシー設定画面

Chromeのプライバシー設定画面

ご存じChromeはやはり様々な項目を収集しようとしているのがこの画像からもわかると思います。 設定画面で全てを拒否したつもりでも、位置情報などを送信する設定になっていたり、個人情報が駄々洩れなのがわかりました。

また、トラッキングをブロックする設定がないことも特徴です。(トラッキング拒否リクエストはトラッキングをブロックするものではないです)

Firefoxのプライバシー設定画面

Firefoxのプライバシー設定画面

Firefoxのプライバシー設定画面

お次はブラウザシェアNo2のFirefoxです。 ブラウザ戦争の真っ只中に、Chromeに対抗する形で個人情報の保護を宣言していたのが記憶に新しいですね。

こちらでまず大きく目についたのが「トラッキング防止機能」。 UXと安全性を両立する「標準」と、プライバシー保護に特化した「厳格」、そして「カスタム」の3種類です。

厳格モードであっても、世の中のすべてのトラッキングを防げる保証はないですが、 Chromeと比べて個人情報保護に対してきちんと考えてるんだなーっていうのを感じますね。

また個人情報収集の設定に関しても「私たちは、個人情報を受け取る前に、常にユーザーの許可を求めます。」って謙虚だなぁーって感じですね。

「私たちは、個人情報を受け取る前に、常にユーザーの許可を求めます。」

ですって。

なんだかんだFirefox結構やるじゃん。

新生Edgeのプライバシー設定画面

新生Edgeのプライバシー設定画面

新生Edgeのプライバシー設定画面

見た感じはFirefoxとよく似てますが、細かなところに差が見えますね。

まず、トラッキング防止機能が「基本」「バランス」「厳重」の3種類。

更に、ブロックしたトラッカーとブロック回数が見れます。 数ページ見ただけでGoogleのトラッカーがとんでもない数ブロックされてるのがわかりますw

また、個人情報収集設定にある「Windows 診断データの設定」の部分がリンクになってますが、 これをクリックするとWindowsの設定アプリが開きます。 細かいところでOSとの親和性を持ってるのはMSらしさというか。

機能としては一通りそろっていて安心できる印象はありますが、Firefoxの 「私たちは、個人情報を受け取る前に、常にユーザーの許可を求めます。」 という言葉の安心感には勝てないですねww

# 拡張機能

拡張機能に関しては、Microsoft StoreからEdge用のアドオンが入手できるほか、 設定をいじることでChromeの拡張機能も入れられるようです。

ただし、Chrome用拡張機能は動作保証対象外で、実際にセキュリティ系アプリなど動作しないものもあるみたいです。

# 総評

  • UIはChromeと同等
  • プライバシーはChrome以上Firefox未満?
  • MS Storeから拡張機能が提供されてる。Chromeとも一部互換性あり

といったところで、思ったよりも良い塩梅でまとまったブラウザなんじゃないかと思います。

今のChromeやFirefoxで特段不満が無い人は特に乗り換える必要も無いですが、 今までIEやEdgeが標準で入ってたからとそのまま使ってる人にとっては、 かなり良いブラウザになったんじゃないかと思います。